落とし穴からの脱出
「組織に元気がない」「人が育たない」という結果は、多くの企業で定型化された規制・管理強化による副作用であることが大きいと思います。コンプライアンスの実践を目的に行われたルールの厳格化が、はじめは息苦しくあっても時間とともに習慣になり、いつの日か閉塞感とマンネリ化だけが会社に住み着きます。失敗を恐れ、仕事に創意工夫や挑戦といった積極的な取り組み意欲がなくなり、「決められたルールを守ればいい」といった先行きの暗い組織ができあがります。ルール以外からでも問題発生は十分に考えられ、ルールの厳格化による、それ以外に対する注意欠落が「ミスを見逃す目」を養っていきます。
生真面目に仕事をこなし、責任感の強い日本人の性分による部分も大きく、けっして悪いことをしている訳ではないところが「落とし穴」から脱出できない原因でもあります。いっそう企業はルールの厳格化と業務の定型化に拍車がかかり、クレームやミスが発生するたびに、マニュアルをどんどん分厚くしていきます。
その結果、萎縮や閉塞感を更にこじらせ、それが問題だと薄々は感じているのに止められない、まるで、やり始めたら止められない公共工事のようにも感じます。冷静な総括と真摯な反省を行い、その上で、例えば自由と寛容といったパラダイムから、新たな組織運営にかじを切ること以外に、組織の活性化も人の成長も期待できないことでしょう。
0コメント